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資料詳細
詳細情報
項目 | 内容 |
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書名等 | 氷河と万年雪の山 |
著者名 | 小島 烏水 |
出版者 | 梓書房 |
出版年月 | 1932.6 |
時代区分 | 1923-1940:震災復興期 |
ページ数 | 406p 図版33枚 |
大きさ | 20cm |
件名 | 山岳-アメリカ合衆国 |
書誌番号 | 1190379656 |
資料種別 | 1:図書 |
所蔵先 | 中央図書館 |
目次 | 氷河と万年雪の山 米国の「山岳氷河」 富士火山帯及日本アルプスとの比較地形 1 生きた氷河の発見 3 2 太平洋コルヂエラ 9 3 月夜の広野をさまよふ如く 14 4 異郷に見る富士の影-シヤスタ火山 19 5 典型的なアルプス式氷河 23 6 キャスケード火山氷河の特徴 27 7 山上の幻覚 30 8 シエラ山と日本アルプス 34 9 氷河地形分布の比較 38 10 ヨセミテ峡谷と上高地 42 氷河の谷から万年雪の山へ 米国太平洋岸高山氷河踏査研究の記録 1 氷河線の東漸 46 2 日本に於ける氷河時代 50 3 飛騨山脈の旧氷河とシエラの現存氷河 55 4 拾つた漂石 60 5 上高地とヨセミテ谷の氷蝕地形 63 6 レイニーア山の氷河(上) 69 7 レイニーア山の氷河(下) 72 8 マウント・フツドの立体感 76 9 マウント・フツドの氷河考察 81 10 日本アルプスの回春 85 シエラ・ネヴアダと飛騨山脈の比較 88 火と氷のシャスタ山 100 フッド登山 1 登山短信 116 2 フツド山の岩石及び氷河 123 3 山に召された人々 127 ベエカア山の氷河登攀 131 ベエカア山氷河手帖 149 シュクサン氷河へ墜死した古谷久三君 153 山と氷河の古本を漁る 162 氷蝕のロッキイ山 174 日本アルプス縦横 1 日本アルプスとは何ういふところか 181 2 日本アルプスの名称 185 3 日本アルプス登山小史 188 4 外側から見た日本アルプス 192 5 雪の北アルプス 195 6 水の北アルプス 198 7 岸壁の中央アルプス 201 8 大きい南アルプス 204 槍ヶ岳の昔話 207 志賀矧川とウエストン 日本アルプス風景 234 日本アルプス国立公園のカアル帯 243 日本アルプス雪蝕地形論 1 序説 250 2 地殻の証券に残す氷河の文字 265 3 万年雪の造るU字谷 276 4 氷河湖 279 5 堆石 286 6 雪蝕カアル 300 7 万年雪の流動 307 8 カアル地形なき高山 318 9 日本の仮想氷河期 324 10 結論 326 不尽の高根 1 江戸と東京の富士 331 2 裾野の水車 337 3 大宮と吉田 342 4 富士浅間神社 348 5 旅人の「山」 353 6 富士の古道 357 7 石楠花 362 8 室 369 9 乱雑の美 375 10 八ヶ岳高原 381 お札博士の富士山講演 386 木曽街道の錦絵 395 浮世絵風景画史上の小発見 巻後に 406 図版目次(付解説) 四色版 マウント・ベエカア 2-3 本文131-148頁「ベエカア山の氷河登攀」Chucknaut mt.より見せるマウント・ベエカア参照 マウント・フツド 84-85 本文116-122頁「フツド登山」参照 写真版 マウント・アダムス 16-17 著者未登の山であるが、キヤスケード火山郡の一雄峰として示す、海抜12307尺、コロムビア河に沿ひて、ホワイト・サアモン河を、ツラウト湖まで溯り、山足に達して登る、南方には溶岩流美事に発達してゐる、山頂は不規則で、東西に短かく、南北に広く、円錐形を示してゐない、山側に氷河多く、中にも、東側のクリツキタツト氷河は、壮絶だといふことである、山麓には富士と同じく、人穴的洞穴多く、氷や鍾乳石に、充ちてゐるさうだ シヤスタとシヤスチナ 20-21 東西より見たるシヤスタ(向つて右)と、シヤスチナ(左)の二重火山 レイニーア氷河の鳥?図 24-25 レイニーア山の火口を、中心にする氷河放流の鳥?景、矢を以て示す氷河は、著者の跋渉したところで、左は頂上に発源するニシクオリ氷河、右はパラダイス氷河だが、他の氷河から涵養した中間氷河Interglacierに属する レイニーア火山のニシクオリ氷河 24-25 レイニーア火山の頂上より、発源して、南方へと流下するニシクオリ氷河 パラダイス・パーク(右の下端)から見たレイニーア山と、ニシクオリ氷河の全景で、山頂の右の角状巨岩はジブラルタル岩で、登山の際尤も苦しめられるところ、左端の高所は、ピーク・サクセス(14150尺)だが、そこはまた最高点(コロムビア・クレスト14408)ではない グレシア・ポイントの「山の家」 60-61 グレシア・ポイント・ホテルの冬景、約7千2百尺の高さで、ヨセミテ谷を俯?する、谷頭絶壁の一端に立つてゐる、ホテルのバルコニイはシエラ・ネヴアダ山脈(所謂シエラ高地帯)を大観するに最も適当の場所である ヴアナル瀑布 64-65 ヨセミテ五大瀑の一つであるが、ブライダル・ヴエール瀑や、ヨセミテ瀑の如く、懸谷から直下して主谷に飛躍するのでなく、ヴアナル瀑布は、ネヴアダ瀑布と共に、マルセツド河の中で形成し、階段状の岩棚を越えて、幅広に、谷の東端へと奔流するもので、その岩棚は、恐らく氷成の階段であろうと考へられる 鏡ヶ池 64-65 ヨセミテ渓谷の明珠、鏡ヶ池、マルセツドの渓流を遮断して、側堆石が作成した氷河湖の一種、湖水は静かな朝には、付近の山容を倒映するので、この名がある エル・キヤピタン 66-67 ヨセミテ渓谷中、エル・キヤピタンの大岩壁、縦状節理から、截断されて、このやうな峻直壁を作るに至つた、その下に美事な終堆石を存す ローヤル・アーチ 66-67 岩壁の下部は、彎曲節理に沿うて、裂折したもの穹門状をなすところから、ローヤル・アーチの名がある、上部をノース・ドームと呼んでゐる ニシクオリ氷河の終端 72-73 ニシクオリ氷河の終端、底から融解して、アーチ形の洞門を作つてゐるが、後掲のパラダイスのそれほど洞門は充分ならず、氷河の色も、泥まみれで、甚だよごれてゐる、向つて左の河原に、杖を持つ老婦人が立つてゐるが、杭ぐらゐにしか、見えない パラダイス氷河の終端 72-73 終端、洞門となつて、二條の滝を落す、甚だ美くしい、中へ遊覧客を入れるが、雪の多い年には、許されないこともある、終端を「鼻」Snoutと称する パラダイス氷河の上を漂流 74-75 くの字になつて氷河下り 74-75 パラダイス氷河は、円滑で、比較的平面であるので、「クレツヴアス」の危険がなく、雪辷べり、氷辷べりには、持つて来いの遊戯場になつてゐる、殊に夏の早期は、氷上一面の積雪で、辷べるのには都合がいゝ フツド山のエリオツト氷河 78-79 フツド山のエリオツト氷河前 78-79 フツド火山、北面のエリオツト氷河、この氷河は、山の北東方のカアルから発源して、北側へと二哩位の長さで、下つてゐる シヤスタ山の噴火孔絶頂 112-113 シヤスタ山火口壁外側 112-113 我等の登山したのは、火口壁の外側までゞ、絶頂へ及ぶことが出来なかつた、故に記載を省く、絶頂の写真は、麓の町で入手したものである フツド山の南面 120-121 頂上はイルミネーション・ロック(左)クレエタア・ロツク(中央)スチール・クリツフ(右)等の岩壁で、胸壁はトライアングル・モレーン(三角堆石)を示してゐる、流下の氷河は、ホワイト・リバー氷河(右)ヂツグザツグ氷河(左)である フツド山の雲の平 120-121 エリオツト氷河の、略々終端に当るところにある フツドの段状氷河 122-123 エリオツト氷河の、クレツヴアスが、階段状を示せるもの、一体にエリオツトを始め、この山の北側氷河は、終端に近づくほど、岩屑が多く、氷河の絶え間や、切れ目に、黒く露はれてゐる、崩雪が氷河の主体に添うて、運搬したものらしい フツド下山路の針氷 122-123 南側の火口近い(少しく下つた)ところに、氷柱が垂れてゐる、カラン・カラン音がして、崩れるのがおもしろいので、杖で戯れに掻き廻して見たのである、この辺から、氷雪の供給を受けて、ホワイト・リバア氷河は、下り始める フツド山の氷柱(2面) 124-125 北側の氷河は、峻急の傾斜に遇つて、このように裂折し、転倒し、恐るべき氷柱(Ice Pinnacle)を乱立してゐる、そして氷柱に囲まれて深い「クレツヴアス」が陷ちこんでゐるのを常とする、一見悚然(エリオツト氷河にて見たる現象)然るに東側の、ニウトン・クラーク氷河は、だゞつぴろく、氷体と熔岩の限界が、判然しないほどに喰ひ違つてゐるのは、おもしろい対照である 両氷河の間には、Cooper's Spurrの熔岩塊が、黒く露出してゐる フツド山の氷原を彷徨 128-129 命綱を頼みに、マウント・フツドの氷原(エリオツト氷河)を、霧の中に彷徨する一行、最左が案内者ムーデイ、右から4番目は著者 ベエカア山とルーズヴエルト氷河 130-131 海抜約5千5百尺のルツクアウト山林叢から、眺望したベエカア山と、ルーズヴエルト氷河 ルーズヴエルト氷河のベルグシユルンド 144-145 氷河源頭の、大カアル頂部に沿うて(画面向つて右の上部シユルンド(裂線)を幕口の如くに開けようとしてゐる マウント・ベエカアの絶頂氷壁 146-147 マウント・ベエカアの絶頂直下の氷壁 146-147 マウント・ベエカア最初の登攀者なる英人画家コールマンの写生を、木版に彫つたもので、原因は1869年11月刊行の、ハアパア 雑誌Harper’s new monthly magazineに、同人が太平洋登山記Mountaineering on the Pacificに挿入したもの 上図は、ベエカア山の主峰グラントピークの絶頂 下図は、その絶頂に辿り付くまでの、最後の氷壁 ベエカア山頂 146-147 ベエカア絶頂に形成せられた氷柱 146-147 ベエカア最高点に生成する氷河と、その氷針(Icicle)を示す、キヤスケード火山彙の氷河は、必ずしも、凡てが山頂から発源すると言はない、ベエカア絶頂に、果して氷河を結成するや否は、疑問であつたが、絶頂を脚下に踏んで、このように、美事な氷河を形成するを知つた 野営 148-149 ベエカア下山後、マザマ・ドームと、スレート・マウンテンの間の、雑木ヶ原Heather Meadowで張つたテント 氷河渓 148-149 ルーズヴエルト氷河の融解水、氷河村に流れ行く我等一行は、逆に氷河村から、グレシアル・クリークに沿ひ、(134-135頁参照)ヘリオトロープ山稜に、達したのである ルーズヴエルト氷河の「クレツヴアス」 150-151 前面中央及び左右対立氷河上部の層理は、恐らく年輪であらう、向つて右の水壁の上部には雪庇(コルニイス)の崩れたあとの、残部を乗せてゐる ルーズヴエルト氷河の低部 152-153 約6千7百尺の高さ、氷河末端の縦面が、新雪に覆はれ、縦断面を、平行層理のまゝに示してゐるが、中央から右の方は、大分傾斜凹凸が烈しく、不規則になり、クレツヴアスの切り込みも、伴つてゐる ルーズヴエルト氷河の中部 152-153 氷河進行に従つて前面を凸状に、幾段のクレツヴアスを開いてゐる、流下の速度が、比較的中央部に早く、両岸に遅いために、出来るクレツヴアス列である、標高は約8千尺のところ 古谷久三氏とシユクサン山氷河 158-159 シユクサン山は、ベエカア山より北東の方、8哩離れて、加那陀国境近くに聳えてゐる、標高9308尺、キヤスケード高原(準平原)の残址で、粘板岩や、片岩から成ると聞いた、岩壁上りと、氷河登攀が、最も危峻と聞いてゐる 山腹にかゝるプライス氷河と、カアチス氷河は、この山の早期登山者等の名を、付けたもので、古谷氏の写真は、ベエカア山より下山の途中、テーブル・マウンテン付近で、写したのであつた ルイ・アガシイの「堆石ホテル」 166-167 Bettannierが、自然より写生して石版に描き、1840年瑞西にて製版印行したもの、本図は直接に原版画から、複写したのである 加奈陀ロツキイに於ける氷河浸蝕の痕-欠き取り 180-181 パラダイス・ヴアーレイに於ける、源頭近い珪岩に示された氷河浸蝕の働き、手近い岩面の切截と條痕の末端は塊状岩片の「欠き取り」と、運搬を示してゐる 加奈陀ロツキイに於ける堆石 180-181 加那陀ロツキイに於けるヴイクトリア氷河の、二條の堆石、中央に立てる人体に比較して、堆石の巨大なることが知られる、殆ど堆石の大塊ばかりで石と石の間を填充する土壌、その他の雑物がないのは、むしろ珍らしい、或は地震で、崩壊の岩片を、そのまゝ古代氷河が、運んだのではないかといふ説がある 以上の2写真は加那陀山岳雑誌Canadian Alpine Journal(1908年)から転載した アルパイン・ジヤアナル表紙 186-187 ウエストンの最初の日本アルプス登山記 186-187 1893年5月号(120号)の表紙、及びウオルタア・ウエストンの、最初の日本アルプス紀行の第1頁を摸刻す、「日本アルプス」なる文字が印刷された最初のもので、同氏の有名な「日本アルプス」なる単行本出版に先立つこと、3年前 槍ヶ岳早期の探検者津田正生(6合庵)の画像 188-189 「鎗ヶ岳日記」の出版広告 188-189 本文188頁「日本アルプス登山小史」参照 8月の立山カアル 196-197 冠松次郎氏作 雪の少なかつた昭和5年8月の立山で、岩小屋沢から、黒部の廊下へ出てゐる長大な支脈の、2067米突の峰付近から、撮影したもの 左が本峰、その懐に見える2つのカアルは、サル股のカアル、この2つのカアルが合して、御前谷となる 右の次のものが、内蔵助の谷、上流のカアル、最右の山は、別山で、その間のが、真砂のカアル、前に大きく出てゐる大岩壁は、黒部別山大タテカビンである この方面から見ると、富士の折立岩が、尖つて立派に見える(冠氏の自記より) テナヤ湖(遠くより) 268-269 テナヤ湖(遠くより) 268-269 ヨセミテ国立公園内、氷河湖の1なるテナヤ湖、標高8141尺、ヨセミテ湖群中の大湖で、且つ深いと謂はれてゐる、湖は花崗の岩壁に囲まれ、岸壁は、氷河に磨かれて輝やいてゐる 氷河磨瓏の痕 268-269 モンタナ州に於ける氷河遺跡 ベエカア山麓氷河磨瓏の岩床 268-269 ベエカア山麓氷河の乗越した材木石 268-269 ベエカア山麓に露出する玄武岩の上を、氷河が乗越して、欠き取つた跡 タマラツク湖とエコー湖 270-271 タホ湖群地方のタマラツク湖、及びエコー湖で、両湖とも、湖群地方の最南端に横たはる、共に氷河湖である、タマラツク湖の西には、ピラミツド・ピーク(10020尺)が聳えてゐる、ピークには氷河を現存してゐる、エコー湖の北には、エコー山稜とアンゴラ・ピーク(8625尺)が聳えてゐる ピラミツド岳とデゾレーシヨン谷 270-271 ピラミツド岳より放流の氷河で、山麓直下の谷地は、払拭されて裸地となり、不毛谷の名がある(と言つても、現在は、短小なる喬木や、植物が相応に茂つてゐる) テーブル・マウンテイン氷河の運びつゝある漂石 274-275 テーブル・マウンテイン氷河の漂石 274-275 テーブル・マウンテンは、ベエカアを繞ぐる側火山の1つで、穹窿状をなしてゐるところから、マザマ・ドームとも呼ばれてゐる、高さは約6千尺、山頂に氷河が冠さつてゐる、この山からオースチン峠、シユクサン山稜へと、繋がつて、シユクサン山に登り得 氷蝕のマツタアホルン頂上 300-301 非氷蝕の槍ヶ岳頂上 300-301 Joeminより見たマツタアホルンの絶頂と、槍ヶ岳の頂上部を比較す、マツタアホルンの山頸は、傾斜峻急で、現在は氷河を宿してゐないけれど、過去に於ける氷河切截削磨の痕跡歴然たるものがある、槍ヶ岳には、そのやうな切截が見られない 別山沢の雪渓 314-315 別山沢出合付近に於ける雪渓内の空洞、上端の白い部分は、日射を受けた雪渓の表面 今西錦司氏蔵版 長次郎沢の雪渓 314-315 長次郎沢入口のシユルンドにて、人物に依つて、バンドとバンドとの、間隔を示してゐる 今西錦司氏蔵版 ベエカア山の万年雪 314-315 雪渓内空洞の天井は、前掲別山沢出合付近の雪渓と、同じ模様をしてゐるが、別山沢のものよりも、より固く、氷化してゐる、そしてバンドは、前掲長次郎沢入口のものと、人物の高さの釣合を比較して見るのも、興味のあることだらう 雪の裏不二 330-331 鳥山悌成氏作 昭和6年2月、船津より写、同年10月のフランス国際サロン、同7年4月日本国際サロンに、入選したもの 富士の白石楠花 364-365 昭和6年7月、富士山北面中腹、小御岳付近にて田辺和雄氏撮影 前面に花を開いてゐるのは白石楠花、背景はシラビソの林 武田久吉博士に依れば、小御嶽付近から西御中道にかけては、シロシヤクナゲ甚だ多く、山梨県で石楠花地帯の称を、地図上に記してゐるけれど、皆シロシヤクナゲのみで、富士山に石楠花は無いとのこと 石室の烏水 372-373 富士山8合目、海抜3千2百50メートル、茨木猪之吉氏写 |